【完】きみは硝子のゼラニウム





……あった。


小さく息をのむ。四つ葉のクローバー。

ちぎってしまうのは、少しだけ気が引けるけど……それでも、そっと指先で摘み取る。

……ごめんね。

でも——私に、少しだけ力を貸して。



そのまま立ち上がって、尋くんのいる方へ走り出す。


思ったよりも距離があって、すぐに息が上がる。肺が苦しくて、足も重くなるのに、それでも止まりたくなくて、ただまっすぐに向かう。



尋くん。


……尋くん。



名前を呼びたいのに、息が足りなくてうまく声にならない。

それでも必死に近づいていくと、気づいた尋くんがこちらを見て、少し驚いたように目を細めた。



「もう見つけたの?」



はあ、はあ、と肩で息をしている私を見て、困ったように眉を下げて笑う。


その顔を見た瞬間、胸の奥に溜め込んでいたものが溢れそうになる。


私はその場にしゃがみ込むみたいにして、尋くんの前に座り込んで——震える手で、そっと四葉のクローバーを差し出した。

それはただの草かもしれない。


でも、今の私にとっては——勇気そのものだった。