【完】きみは硝子のゼラニウム





耐えきれなくなって目を逸らそうとしたのに、今度は視界に入ってきたのは——その、唇で。


昨日のことが一気にフラッシュバックして、ボッと音がしそうなくらい一瞬で顔が熱くなる。


む、無理……思い出しただけで無理……!


視線をさまよわせる私を見て、尋くんはフッと、余裕そうに小さく笑みを浮かべた。

その表情がまたずるくて、余計に心臓に悪い。



「おはよ」



軽く、なんでもないことみたいにそう言われて、こっちの気も知らないで……って、心の中で思わず文句を言いたくなる。



「今日、予定あんの?」


「今日は特になくて……尋くんは?」


「俺もとくにないけど」



もぞもぞと体を起こして、ソファの上で胡坐をかく仕草さえ、なんだか全部意識してしまって落ち着かない。


っていうか、私……なんでここにいるのか聞かれたら、なんて答えればいいの!?寝顔見てました、なんて言えるわけないし……!


頭の中がぐるぐる回って、視線も落ち着かなくて、自分でも分かるくらい挙動不審になっている。


そんな私の様子なんて、とっくに全部見抜かれているんだろう。ははって小さく笑ったかと思えば、手を伸ばしてきて、ぽん、と頭を撫でられる。



……もう、ほんとにずるい。



私の気持ちなんて、きっと、とっくに全部ばれてる。