【完】きみは硝子のゼラニウム





胸の奥がじんわりとあたたかくなって、思い出すだけで息が詰まりそうになるくらい幸せで、気づけば無意識に自分の唇を指でなぞっていた。


その感触に、はっと我に返って慌てて手を離す。


な、なにやってるの私…!こんなの誰かに見られたら絶対変に思われるのに、止めようとしても、どうしても意識がそこに引き寄せられてしまう。



私が嫌がってないこと、見抜いて……キス、したんだよね…?


あのときの距離、視線、触れた温度——思い出すたびに心臓がうるさくなる。


じゃあ……私の気持ちも、ちゃんと伝わっているってことだよね…?言葉にしていなくても、あの瞬間に、少しは……届いていたのかな。



ガチャ、とできるだけ音を立てないようにゆっくりと扉を開けると、視界に飛び込んできたのは、ソファに横になって毛布をかけて眠っている尋くんの姿だった。



よ、よかった……。

リビングの空気はほんのり暖かくて、エアコンもちゃんとついたままだったみたいで安心する。


寒い思い、してなかったんだ……よかった。