【完】きみは硝子のゼラニウム





「尋くんからもらった花束にかえようかなあ」


「へえ。じゃあ、あれは捨てるってこと?」


「捨てないよ。栞にしようかなと思ってて」



そう言うと、尋くんは「いいじゃん」って笑って、頬に触れていた手を離した。

その瞬間、さっきまであった温もりが消えて、どうしようもなく寂しくなる。

もっと触れていてほしいなんて、言えるわけもなくて。



「じゃあ、おやすみ」


「…おやすみなさい」



パタン、と静かに閉まる扉の音が、やけに大きく響いた。


部屋に残された静けさに包まれながら、私は布団の中に潜り込んで、ぎゅっと体を丸める。




……好きって、言えなかった。


あんなにタイミングはあったのに、何度もチャンスはあったのに、結局…。


胸の奥がじんわりと痛くて、どうしようもなくて、近くにあったぬいぐるみを抱きしめる。



さっきまでそこにあった温もりの代わりみたいに、強く、強く。


目を閉じても浮かんでくるのは、尋くんの顔と、あの一瞬のキスの感触ばかりで、全然眠れそうになかった。

















” カスミソウ ”

― あなたに出会えてよかった