【完】きみは硝子のゼラニウム





なっ…手…!?って、もういろんな意味で限界で、口をぱくぱくさせることしかできない私をよそに、尋くんはまるで迷いがないみたいに動き出す。


許可なんてしてない。というか、そもそも一緒に寝たいって言ったのは私なんだけど、でも、だからってこんな展開になるなんて思ってなくて。


気づけば当然のように布団の中に入り込んできていて、一気に距離がゼロになる。

さっきまでとは比べものにならないくらい、体温も、息遣いも、全部がすぐそばにある。

心臓がうるさい。絶対聞こえてる。


わ、私、積極的すぎた!?もしかして、変なふうに思われてる!?いやでも…って、もう何をどう考えればいいのか分からなくなって、頭の中はぐるぐると混乱するばかり。


そんなふうに思考が追いつかないまま、次の瞬間、ぐいっと強く引き寄せられる。


え、と思う間もなく、簡単に、あっさりと、抱きしめられていた。腕の中にすっぽり収まってしまって、逃げ場なんてどこにもない。


背中に回された手の温もりも、近すぎる胸の鼓動も、全部がリアルで、全部が近くて、どうしていいか分からない。


ただひとつ分かるのは、離れたいなんて少しも思ってないってことだけで。