おはよ、なんて、そんな優しい顔で言われて。
……許すとでも思ってるんですか。さっき笑われたこと、ちょっと拗ねてるんですけど。
心の中ではそう思っているのに、結局私は何も言えないまま、むすっとした顔を少しだけ崩してしまう。
だって、そんなふうに柔らかく笑われたら、怒り続けるなんてできない。
……許すとでも思ってるの?なんて自分で思いながら、結局すぐに許してしまう。あぁ、ほんとに甘い。私は甘い。
尋くんは、当たり前みたいに、自然な仕草で私の手を取った。抵抗することもできないまま、その手に引かれて歩き出してしまう。
……好き、だな。
半歩後ろを歩きながら見る尋くんの横顔。少しだけ前を向いたままの横顔とか、すらっと伸びた背中とか、広い肩とか。
そんな何気ない姿を見ているだけで、好きだな、って、改めて思ってしまう。
さっきだって、からかわれたのに。なのに私は、結局こうして手を握られて歩いている。許してしまう。だって、好きだから。



