「たぶん、自分で思ってるより、綺麗な顔してるから、気を付けたほうがいいよ」
突然の言葉に、私はまた、目をぱちぱちさせる。
かわいい、とは言われたことはあったけど、そんなのはお世辞だと思ってるし。
なにしろ、綺麗なんて初めてで、心臓が少し跳ねた。
どきどき、どきどき。
なんて言えばいいのかわからなくて、ただ目を合わせられずにうつむく。
すると、彼は少し笑いながら、
「そーいう顔とか」
と付け加えた。
そーいう顔って…?どんな顔ってことだろう。
意味がわからなくて頭の中がもやもやする。
でも、心の奥では、どうしても言いたくなる。
(綺麗な顔なんて…あなたのほうが、よっぽど…)
いや、言えない。恥ずかしくて、口にできない。
「とりあえず、駅向かう?」
その声に、自然とコクンとうなずく。
小さく背伸びして彼の斜め後ろを歩く。背中が大きい。
私よりずっと背も高くて、肩幅もあって、歩き方さえかっこいい。



