【完】きみは硝子のゼラニウム





手出る、なんて。

そんな言葉を、あんなふうに軽く言う尋くんも、ちゃんと男の子なんだって、今さらみたいに思い知らされる。


尋くんも、そういうこと考えるの……?

別に、嫌じゃない。むしろ、尋くんならいいよ、って思ってる自分がいる。

手、出してもいいよ、って。


でももし本当にそんなことになったら、どうすればいいのかなんて、経験のない私にはまるで未知の世界で、想像しようとするだけで頭が真っ白になる。


ドキドキと不安と期待がごちゃまぜになって、呼吸が少しだけ浅くなる。こんな気持ち、映画の中でしか見たことなかったのに。


いざ自分のことになると、全然余裕なんてない。



「…まだ、寝ないで、お話ししたい…尋くんのこと、もっと知りたい…」



眠い、けど。まぶたは重いけど。それでも、まだ離れたくないから。

眠気のおかげで、たぶん今の私は、いつもよりずっと素直だ。


とろんとした目で見上げると、尋くんは一瞬だけ驚いた顔をして、それからふっと力を抜いたみたいに笑った。



「ははっ、いいよいいよ。なんでも聞いて。全部答えるから」



……全部、ってなに…?

どこまで、いいの。

そんなふうに言われたら、本当に全部聞きたくなっちゃうよ。