【完】きみは硝子のゼラニウム





日付を超えてから、少しずつ、まぶたが重くなってきて。こすっても、こすっても、眠気はじわじわと戻ってきて、視界の端がふわっと霞む。



「眠いの?」



優しく笑う尋くんが隣にいる。その声だけは、ぼんやりしかけた意識の中でも、ちゃんとはっきり聞こえた。



「もう寝る?」


「……どこで、寝るの…?」



“もう寝る?”って。
せっかく一緒にいられるのに、なんだか寂しい。



「…どこで寝るって…あー。俺ソファで十分だし、ひなは自分の部屋行きな?」



……寝たら、尋くんと離れるってことだよね?


…………………そんなの、やだ。



「…やだ。一緒に寝たい…」



眠い目をこすりながらも、はっきり言った。

今この瞬間、できるだけ離れたくない。朝になったら、またいつも通りに戻っちゃう気がするから。


その言葉を聞いた尋くんは、テーブルに頬杖をついて、口元を手で隠した。



「…さすがに、手出るってそれは」



テレビのほうを向きながら、でもチラッと横目で私の顔を確認してくる。


その一瞬で、不覚にも胸がぎゅっと締めつけられる。

眠気なんて、一気に吹き飛ぶくらいの破壊力。私のほうが真っ赤になってしまう。