朝まで映画を見ようよ、なんて話しだったのに、いざ本当に映画が始まってみれば、ちゃんと画面に向き合っていたのは最初の1本だけで、エンドロールが流れる頃には、もう次の作品の内容なんて半分も頭に入っていなかった。
2本目が始まってからは、ずっと流し見で、気づいたら映画よりもお喋りに夢中になっていた。
用意周到なパーティーみたいなものは何もなくて、テーブルの上にあるのは氷を浮かべたグラスと水だけ。
コンビニでお菓子を買っておけばよかったね、なんて笑いながら、カラン、と氷が溶ける音を何度も聞いた。
だけど、じわじわと熱を帯びてくるこの季節には、冷たい水だけで十分だったのかもしれない。
好きな食べ物の話から始まって、好きな映画、好きな音楽、ハマっていたドラマ、苦手な教科、テスト前の変なジンクス、休日のルーティン、部屋の片付けができない言い訳。
どうでもいいようで、でも確かにその人をつくっている欠片みたいなことを、ひとつずつ、確かめるみたいに言葉にしていった。
3本目が再生される頃には、時計の針はとっくに日付を越えていて、テレビの光が横顔を照らすたびに、こんなふうに誰かと朝まで一緒にいるなんて、これから先、もうないだろうなと思ってしまう。



