それにしても災難だったな、と続けながら、ポンッ、と私の頭に大きな手をのせた。
その優しい重みに、思わず目をぱちぱちさせる。
頭に触れられたのなんて、いつぶりだろう。
驚いて固まっていると、あ、今触んのはまずいな、と彼はハッとしたように言って、すぐに手を離した。
「悪い。さっき怖い思いしたばっかだもんな」
やべー、なんて小さく呟いて、少し気まずそうにそっぽを向く。
優しい。ちゃんと気にしてくれてる。私が怖い思いをしたこと、わかってくれてる。
「…ねえ、もしかして、こういうのってよくあんの?」
突然の問いかけに、思わず、え?と間抜けな声が出る。
「男に声かけられる、とか」
心配しているのか、少し眉をひそめながらそう言う。
「…えと、そんなにしょっちゅうはないです、けど」
正直に答えると、彼はゆっくり腕を組んだ。
何か考えているみたいに、視線を少しだけ遠くに向ける。



