きみは硝子のゼラニウム





さっきまで怖さでいっぱいだったはずなのに、今は別の意味で胸がドキンと鳴る。


チカチカと、星がきらめくみたいに、彼の後ろの景色が光って見える。

 
夕方の光のせいなのか、涙のせいなのか、わからないけど、本当に、星が降ってるみたいだった。



「あ、泣き止んだ」


「…っ、ごめんなさいっ」



ハッと我に返る。


星が見える、なんて何考えてるの私!

そんな場合じゃない。



私はバッと彼から離れて、できるだけ丁寧に、深くお辞儀をした。


助けてもらった上に、泣き顔まで見せて、しかも手まで握ってもらって、慰めてもらって。


思い出すだけで顔が熱くなる。じわっと冷や汗が背中を伝う。



顔、上げて、と低くて落ち着いた声に言われて、私は恐る恐る顔を上げた。


よく見たら他校の制服だ。セーラー服と学ランのうちと違って、ネクタイをしめて、ブレザーを着ている。



「今日久しぶりにこっちの道通ってよかった」



さらっとそんなことを言って、ふっと笑う。