「…っ、うぅ~っ…」
喉の奥から、みっともない声がこぼれる。
滅多に人前で泣かないのに。教室でも、家でも、ずっと我慢してきたのに。
今日は、たぶん、ダメな日だった。
いろんなことが、少しずつ積み重なって、もう限界だったみたいに。
「大丈夫?ケガとかした?」
すぐそばで、さっきとはまるで違う、やわらかい声がする。今は、壊れ物に触れるみたいな声。
その優しさが、胸の奥にじんわり染みて、余計に涙が止まらなくなる。
ぼろぼろ、ぼろぼろ、止めようとしても溢れてくる。
「あー…ごめん。俺も怖い?」
戸惑ったようにそう言って、彼はそっと体を離した。
違う。そうじゃない。怖いのは、あなたじゃない。
さっきまで、どうなってもいいやって、諦めかけてた。やっぱり私なんて、そんなもんだよなって。
でも、そんな中でも、あなただけは私を見てくれた。ちゃんと、気づいてくれた。
フルフルと必死に頭を横に振る。
怖くない、って伝えたくて。
うまく声が出ない代わりに、精一杯の否定を込める。



