シェヘラザードに捧げる物語




 もしくは、ますます意固地になって俺を彼女に当てがおうとするか。

 俺は昼に泣きついてきた照屋を思い出した。

 ご丁寧に事務所まで連絡して、俺の大体の居場所を突き止めて一軒いっけん店内を見て回っていたらしい。

 とんでもない執念だな、と呆れると同時に、柴田との食事を邪魔された怒りから素っ気ない対応になってしまった。


「何なんだ一体」

「美咲と全然話せないんだよ、電話にも出ないし、家に行ったら追い返されたし」

「職場の方やご友人も駄目だったそうだ」

「ああ、俺も聞いたよ……それで夜に壁を登って美咲の部屋に行こうとしたんだけど……」

「何をしてるんだ、何を」


 俺は怒鳴りつけたくなるのを必死で抑え、文句をつけるだけに留めた。

 こいつは悪いやつではないんだが、時に突拍子もないことをやらかすのでヒヤヒヤする。


「叔父さんに見つかって、親父にもものすごい怒られて……」

「そりゃそうだろうよ……」