シェヘラザードに捧げる物語




 私も不思議に思って調べてみた。


「子孫繁栄を祈ってシュークリームで作るんだって」

「シュークリームで子孫繁栄?」

「シュークリームの〝シュー〟ってキャベツのことなんだよ」


 大賀くんの「それがどうしたんだ」と言わんばかりの表情に、私はちょっとだけ胸を張った。


「知らない? 赤ちゃんはキャベツ畑から生まれるっていう話」

「それでか」


 大賀くんは軽く何度か頷いた。「験担ぎは国が違っても変わらないんだな」との感想に、私も微笑む。


「あとは……イギリスのシュガーケーキも注文されることがあるかな」

「シュガーケーキ?」


 口を尖らせて、「ケーキに砂糖は普通使うだろ?」と当然の疑問をぶつけてきた。


「ドライフルーツを使って、シュガー生地でコーティングするの。長期保存できるケーキだね」

「そんなのがあるのか」

「三段重ねのケーキでね、一段目は披露宴で食べて、二段目は披露宴に来れなかった人たちに配るの」