シェヘラザードに捧げる物語




「へー……あれ全部食えるんだと思ってた」

「それやったら大きいのはさすがに倒れちゃうね」


 イミテーションケーキはとにかく華やかなものが多い。食べられるケーキではできない分装飾も自在、かつ値段もリーズナブルなので注文するお客様は少なくない。

 今は技術も発達して、近くで見ても本物のケーキと間違えてしまう人も結構いるし、私だって言われなければ絶対にわからない自信がある。


「前にクロカンブッシュをお願いされたことがあるよ」

「うーん、聞いたことあるな……あれだ、イタリアのケーキだっけか?」

「残念! フランスのお菓子」


 小さなシュークリームを積み上げて円すいのようにしたケーキで、マカロンやフルーツを飾り付けたりもする。


「フランスかぁ……惜しかったな」

「イタリアもケーキ美味しいもんね、ティラミスとかカッサータとか」

「でもどうしてシュークリームなんだ?」


 確かにシュークリームでケーキを作るのは不思議だろう。