シェヘラザードに捧げる物語




 心の中でガッツポーズをしながら、アイスティーをまた口に含む。


「お待たせしました、チョコレートケーキのふわふわホイップ添えになります」


 隣の席にデザートが運ばれたのを横目に、大賀くんは「デザートは頼まないのか?」と聞いてきた。

 私は軽く首を振る。


「ううん、そこまでお腹空いてないし。大賀くんは?」

「うん、俺もいいかな……」


 大賀くんは苦笑して、「写真のケーキずっと見てたらしばらくいいかってなって」とコーヒーをひと口飲んだ。


「写真?」

「あー、あの情報提供で写真もらって、それずっと見てたから」

「ああ、ケーキ入刀のときの」

「あれすごいよな、二メートルくらいありそうなやつ」

「イミテーションケーキだね」


 大賀くんが「イミテーションケーキ?」と首を傾げたので雑談がてら軽く説明することにした。


「入刀するところだけを本物のケーキにして、他は作りものにするケーキがあるの。それがイミテーションケーキ」