シェヘラザードに捧げる物語




 とは言え、このままだと平行線になりそうな予感がする。

 どうしたものか、と大賀くんの真一文字に結ばれた唇から、立てかけたメニュー表に視線を移した。


「それならお昼を奢らせて」

「いや、自分の分は自分で払うよ」


 私は「そうじゃなくて」とちょっとばかり強引にさえぎった。


「大賀くんからもらったお金の分だけ、私がご飯代を払うの」

「? そんなに食わねぇぞ?」

「これからもお昼とか……晩御飯を一緒に食べよう」


 借りたお金を使い切るまで、大賀くんと食事をするならどうだろうか。

 それなら直でお金を渡されるよりかは気が楽なんじゃないか。

 ……私と一緒にご飯を食べてくれるなら、の話だけれど。


「うん、そうしよう」


 断られたらどうしようと緊張していたら、案外あっさりと賛成してくれた。


「じゃあ、ここは私持ちね」

「ああ、頼んだ」

「そしたら次の都合つく日はメールか電話で教えて」