シェヘラザードに捧げる物語




 私は頷くと、大賀くんと一緒にイタリアンレストランに入った。

 中はそこそこ混んでいたけど、運良く席が空いていたらしくすぐに通される。このチェーン店はリーズナブルな値段で有名だけど、味もそれなりのものを提供してくれることで知られていた。

 友人と来ているらしい女性グループや、父親と向かい合わせに座る小学生まで客層は色々だ。和やかな談笑が四方八方から聞こえてきて、店員さんたちは忙しなく歩き回っている。


「何にする?」

「日替わりランチにする」

「そっか」


 通路側に座る大賀くんは、「どうすっかな……」とメニューを開いて眉間にしわを寄せた。


「俺は……この和風のやつのセットで」

「じゃあ注文しちゃうね」


 私はタブレットを操作して注文のボタンを押した。軽快な音が鳴り、『ドリンクバーでお好きなお飲み物をどうぞ』と可愛らしいイラストが表示された。


「飲み物は俺が取ってくるよ」