シェヘラザードに捧げる物語




 だいぶ早めに着いてしまった……。一時間以上もある……。

 遅刻するよりはいいか。自分にそう言い聞かせて、駅ビルの中にある店を流し見する。

 大抵がカフェやレストランだ。それかケーキ屋か和菓子屋。もっと大きな駅なら雑貨屋にブディックなどなど、選り取り見取りだけど、残念ながらこの駅はそこまで大きくない。

 それでも一つだけある雑貨屋さんを見つけて中に入った。お昼の三十分前になったら大賀くんに連絡しよう。

 個人で経営しているお店らしく、海外から輸入したスカーフや装飾品、香水や石鹸がひしめきあっている。独特の匂いが鼻をついて、店員さんは平気なのかと思ったらしっかりマスクをしていた。


「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」


 少し異国なまりを残した日本語に、どう答えようか一瞬だけ迷う。


「うーん……リラックス……安眠効果のあるアロマってありますか?」


 私の言葉に店員さんはにっこりと頷いた。