シェヘラザードに捧げる物語




「どういたしまして、予定は平気?」

『ああ、それなんだけど……今日じゃ駄目か?』

「今日?」


 やっぱりお金のことだし、大賀くんもさっさと解決したいんだろう。

 弁護士だし借金とか遺産相続とか、お金が絡んだ人の醜さも見てきただろうし。


「今日のお昼?」

『難しそうか?』

「ううん、お昼に事務所に向かうね」


 私がそう提案すると、大賀くんは『いや、俺がそっち行くわ』と返してきた。


『怪我人は動かないほうがいい』

「大丈夫だよ、今だってカフェにいるし」


 これ以上、大賀くんに負担をかけるわけにはいかない。


『それなら……真ん中で落ち合うのはどうだ?』

「真ん中?」

『事務所と、柴田がいるカフェの真ん中の場所』


 大賀くんの折衷案に、拒否してもこのままでは平行線になるなと察する。そこでお願いをしてみることにした。


「今ちょっと地図が見れないから、そっちで地図見れない?」


 私はカフェの場所を続けて伝える。