シェヘラザードに捧げる物語




 これで両親を安心させてあげられる、と少し涙ぐみながら微笑んでいた姿に、私までうっかり泣きそうになってしまった。

 彼女は身体が弱くて、幼少期は入退院をくり返していたという。


「両親には心配のかけっぱなしでした」


 招待状のデザインが決まった日のことだった。

 その日は彼女と私だけで打ち合わせをしていて、式場からのお願いを同封させてほしいと許可をもらい、中身について詳しい説明をさせてもらっていた。


「できる限り不安な要素は取り除いて、私を育ててくれたんです」


 そういえば、とそのときの私は彼女のご両親に初めて会ったときのことを思い出した。

 深々と頭を下げて、「どうぞよろしくお願いします」「娘になるべく負担のないプランを」とお願いされた。その切実さに並々ならぬものを感じて、私も同じくらい深々とおじぎを返したっけ。


「でもそれじゃ駄目だといつも思っていて……結婚を機に何事も自分でやろうと思ったんです」