シェヘラザードに捧げる物語




「え、いや、ちょっ」

「釣りはいらん、それじゃ!」


 大賀くんは嵐のように去っていった。ヒラヒラと舞うお札が虚しい。


「ああもう……強引な」


 私は全部拾うとそのまま薬局へと急いだ。遅くまでやっているとは言え、さすがに二十四時間営業ではない。

 問題なく薬をもらい、あとは帰るだけになった。


「どうしよう」


 当初の予定通り電車で帰るか、このお金を使ってタクシーを捕まえるか。

 どちらにせよ大通りに出ないと。

 のんびり歩きながら考えても答えは出なくて、もう自分は好きなほうにするしかないと腹をくくった。

 最寄りの駅までのんびりと歩く。川島さんの腕はどのくらいで治るのか、主任は怪我してないか、色んな心配をしてはあの披露宴を思い返していた。

 新婦の原嶋さん、今ごろどうしてるだろう。

 ドレスだけじゃない。食事やプチギフトも一緒になってああじゃない、こうじゃないと言い合いながら厳選したのにこの有り様。