シェヘラザードに捧げる物語




 私を見つめる三対の瞳と目が合った。川島さん、小袖さんに……大賀くん?


「あ、ああすいません、ちょっと寝ちゃって……」

「それ気絶じゃないですか?」

「大丈夫ですか?」

「とにかく診察室へ」


 いや、びっくりしてる場合じゃない。

 恥ずかしさであわあわしながら立ち上がると、心配そうな視線が突き刺さってくる。うう、いたたまれない。

 小袖さんに付き添われながら診察室のドアを開ける。


「今日はどうしました?」


 今野(こんの)先生が「またか」と言いたげな眼差しを向けてくる。ああ、今度は肩身がせまい。


「はい、硬いもので殴られまして……」


 それでも説明はしないといけない。

 小さくなりながら怪我の位置や時間、痛みがあるかどうかを話すと、先生は軽く触診をして電子カルテに何かしら書き込んでいく。


「とりあえず痛み止めと外用薬出しておきますんで」

「ありがとうございます」


 数分と経たずに診察が終わり、私はそそくさと待合室に戻る。