シェヘラザードに捧げる物語




 物語なら幸せな結婚をして終わりだけど、人生はそうじゃない。

 結婚してからも生活は続いて、予想もできなかった問題が発生したりもする。

 そんなとき、彼らの支えになれるよう温かい記憶だけを残したい。その手伝いをしたい。


 ──そう願って、私はウエディングプランナーを目指したんです

 ──そうですね……結婚しても人生は続く


 真岡主任は穏やかに相づちを打つ。


 ──結婚は人生の重要な節目です、その日が最良のものであるように本人も、余興やスピーチを請け負う友人知人も、そしてスタッフたちが一丸となって成功させようと尽力する

 ──楽しく感動する思い出になるように、ですね

 ──そう、大事な門出ですからね


 そして噛みしめるように私に笑いかけた。


 ──物語のような披露宴を提供できるよう、私たちができるのは力を貸すことだけなんです


 柔らかく低い声に、気持ちが和やかさで包まれるのを感じた。