シェヘラザードに捧げる物語




 その声をどこか遠くで聞きながら、私はここに入ったときのことを思い出していた。


 ウエディングプランナーを目指したはいいけど、ブライダル業界は縮小傾向にあり、そもそも募集をしてないか、していても一人か二人しか雇用されない。

 片っ端から履歴書を送りまくっても、帰ってくるのは不採用の通知だけ。

 面接まで持っていければマシ。

 悲しいけどこれが現実だった。


 そんな中で、結園の面接を受けることになった。


 面接を担当してくれたのは、真岡主任。

 この前のは圧迫面接だったからちょっと怖かったけど、優しい笑顔で会話をしようとしてくれるのがわかった。


 ──人の幸せのお手伝いをしたいのですね?

 ──はい、特に結婚式の

 ──個人に集中して幸せにしたい、ということでしょうか?


 面接は会話だと心得よ、というセミナーでの言葉が頭に浮かぶ。

 楽しむくらいの余裕を持てと。


 ──一人ひとりとじっくり向き合って、お客様の結婚を素晴らしいものにしたいんです