シェヘラザードに捧げる物語




 二人がきょとんと私を見つめる。

 しまった。圧迫面接みたいになってしまった。


「柴田さん、何かあった?」

「……実は」


 この二人ならどう答えるか気になって、私は誠太郎くんのことを伏せて話してみようとペンを置いた。


「そうですか、お母さんが……」


 二人は表情を硬くして黙り込む。

 川島さんも春日野さんも、身に覚えがあるのかもしれない。


「俺は……まぁ、職場の空気自体はめっちゃいいからかな」


 春日野さんはあごを撫でた。


「安全とか給料とか……ここよりいいとこはあるけど、職場の人間関係が悪いとちょっとな」

「それに、泣き寝入りはしたことないですよね?」


 川島さんの問いかけに、確かにそうだと頷いた。


「上は警察沙汰を嫌がりますけど、弁護士をつけるのには反対してませんよね」

「刑事にはできないけど民事にはするから、それで手を打ってくれってことかもな」


 体面とスタッフの板ばさみか。