シェヘラザードに捧げる物語




 言ってしまった。

 小賢しい女だと思われたかもしれない。

 照屋さんのこともあるし、これで「見損なった」と拒まれても自分自身の責任だ。

 心の中でそう言い聞かせたけれど、気分は沙汰を待つ罪人のようで。

 大賀くんの顔が見られなくて、顔を伏せてしまった。



「それは……柴田も高校のときから俺が好きだったってこと?」



 甘くて低い声だった。

 言われた言葉が信じられなくて、私は恐る恐る顔を上げた。


「あの、私」

「勘弁してくれ」


 身体中の血が、一瞬で冷え切る。

 目の前がぐらついて、上下左右がわからない。



 ──ああ、私、ふられて──



「そうだったなら、もう諦められない」



 大賀くんがテーブルを乗り越えて、私の頭を抱えるように抱きしめてきた。


 これは、夢?

 ……ずいぶんと都合のいい夢だ。


 だけどこれは現実だと訴えるように、大賀くんの体温と心臓の音が伝わってくる。