シェヘラザードに捧げる物語




「それで俺に電話してきたと」

「叔父さんと叔母さんがすごい取り乱して……どうしても落ち着いてくれなくて……」


 照屋さんが遠い目をした。服がヨレヨレなのはそのせいか。


「俺に連絡してきたときは焦ったよ」

「大賀を頼ったかもしれないと思ったんだ」

「頼ったのは結園……春日野さんだったな」


 大賀くんが皮肉めいた微笑みを浮かべる。


「お二人が結園にいらしたときは驚きました」


 川島さんが話の穴を埋めるように続ける。

 ボロボロの春日野さんと、事の中心人物である原嶋さんがホテルまでやってきたのだから、そりゃあびっくりしただろう。

 いくら修羅場慣れしてるとはいえ、スタッフの皆はぎょっとしたはずだ。


「とりあえず控え室が空いていたのでそこにお通しして、真岡主任が事情をうかがっていました」

「そこで所長に連絡がいったんだな」

「それから君塚さんのお父さんがいらして、どうしても関係者全員に謝罪したいと……」