シェヘラザードに捧げる物語




「本当に申し訳なかった、でも柴田さんは──」

「どうやって?」


 照屋さんの言葉をさえぎって、大賀くんが鋭い声をかぶせてきた。

 その圧に、私や川島さんまで息を飲む。


「えっと、ネックレスに盗聴器をつけて、俺たちはイヤホンで聞いてた……」

「原嶋さんはそれを知ってしまったんだな」


 私はもう大賀くんの顔も見れなかった。

 原嶋さんの両親に加担して、盗聴するような女だと知られて。

 ……きっともう、友だちにさえ戻れないだろう。


「俺が親とか他の親戚と一緒に家に行ったときに、叔父さんたちが盗聴のことしゃべったんだ」


 照屋さんは視線を原嶋さんたちに向けた。

 ……まだお礼を言っている。


「美咲はそれを聞いてたみたいで……それで、もう縁を切るつもりで家の二階から逃げたんだ」


 原嶋さん……。

 私は彼女のことも裏切った。訴えられても文句は言えないし、ホテルへの訴訟撤回もこれでおしまい。