シェヘラザードに捧げる物語




 あとでメールや電話をするほうが絶対によかった。

 なのに、あんな晒しものにするようなやり方をして。

 せっかくの料理の味もわからないまま、機械的に口を動かした。


「あの」

「っ、はい」


 デザートの皿を前に、ずっと黙っていた原嶋さんが話しかけてきた。

 悶々と考えていた俺には不意打ちで、声が若干裏返ってしまう。情けない。


「さっきの二人のことなんですが……」


 原嶋さんはそんな俺を指摘するでもなく、柴田と照屋について言及してきた。俺は心臓をバクバクさせながら話題に応じる。


「驚きましたよね。いつから付き合ってたんだか……」

「いえ、あの二人は付き合ってないです」



 え?



「……付き合ってない……?」

「ええ。秀樹のあの様子は嘘をついているときのです」

「そういえば、すごい冷や汗でしたね」


 照屋の姿を思い返す。冷や汗の量が半端じゃなかったし、挙動もどこかおかしかった。