シェヘラザードに捧げる物語




「は……?」

「私たち付き合ってるの」



 今、なんて言った?



「そうだよね? 秀樹さん」

「あっ、ああ……」


 いきなり話を振られた照屋は、ドギマギした様子で肯定した。冷や汗の量が増えて、ハンカチがぐっしょりになっている。


「あの、私たちは別にデートではなくて、今後について大賀さんに相談させていただいただけで……」

「照屋も知ってるだろ? ご両親のこと」


 原嶋さんの弁明に、俺も口添えした。

 ショックを受けている場合じゃない。


「そう、でもそろそろ席に戻ったほうがいいんじゃない?」


 柴田の素っ気ない一言に、俺はハッとなって周りを見回した。

 ……ジロジロ、とまではいかないが、チラチラと視線を感じる。


「そうですね……。戻りましょう」


 原嶋さんに声をかけられて、俺はすごすごと大人しく席に戻った。


 ──もっといい方法があっただろうに。


 心の中で反省会が始まってしまう。原嶋さんの件に集中すべきなのに。