シェヘラザードに捧げる物語




 次の日、私は指定された時間にレストランの前で照屋さんを待っていた。

 今日の服装は二年前に買ったワンピースで、友だちの結婚式に招待されたときに散々悩んで手にしたものだ。

 結婚式をプロデュースする側から招待されてお祝いする側へ、となると準備もスムーズ進むかと思えば決してそんなことはない。

 ご祝儀や余興、スピーチ等々、そのときその場で最善の方法は微妙かつ絶妙に違う。


「柴田さん、ですか?」


 もの思いに耽っていたら急に声をかけられて、肩が跳ねた。


「はい。照屋さん……ですよね?」


 紺色のスーツに身を包んだ、人の良さそうな丸顔のその人は軽く頭を下げてきた。

 こうして見ると、一昨日とはまた違った印象を受ける。


「あのぅ、何か……?」

「覚えてませんか? 一昨日、大賀さんとレストランで……」

「あっ!」


 照屋さんは丸い目をさらに丸くして私を指差した。

 だけどすぐに手を後ろに回してしまう。