シェヘラザードに捧げる物語




 丁寧な文面と一緒に、高級フレンチレストランのホームページのURLが載っていたのでタップする。


「服を用意しないと」


 雰囲気だけで、普段着ではいけない店だとわかる。


「テーブルマナーの再確認も」


 ……そもそも一人で行っていい店じゃないよな。

 相手も用意してくれる……ならいいけど。


「大変なことになっちゃった」


 自分で決めたことなのに、早くも挫けそうになる。

 情けない。

 でも落ち込んでる暇はないんだ。


「服と……マナーの本……」


 クローゼットには友だちの結婚式に出たときの服があったはず。

 テーブルマナーは忘れていることも多そうだし、ネットでも調べておこう。

 相手の人は原嶋さんのお母さんに聞こう。


〈メールを確認しました。一緒に行く方をそちらで決めていただきたいのですが、どうでしょうか?〉


 メールを返したところ、ものの五分で返事がきた。


〈ご心配には及びません。照屋 秀樹という方に協力していただきます〉