シェヘラザードに捧げる物語




 うんざりした気分でスマホを取りにベッドに戻る。


「え……?」


 原嶋さんのお母さんからのメールだった。

 電話番号といいどうして。



 ──昨日あの子が何を言ったかは知りませんが。



 ああ、そうか。原嶋さんから全部聞き出したんだ。



 ──美咲! 何してるんだ!



 両親が結託して、原嶋さんの行動を監視しているとしたら……もう彼女にはうかつに接触できない。

 いや、原嶋さんに直接話したいと伝えれば……うーん、難しいかな……。

 そこまで考えてから首を横に振った。


 私は原嶋さんのお母さんに協力するって決めたんだ。

 ホテルのために。


〈早速ですが、美咲と大賀さんが明日にも昼食を二人でとることになりました〉

〈なので、貴女には二人がどんな会話をしていたかを確認していただきたいのです〉

〈かかった費用はこちらでお支払いいたします〉

〈場所はURLを添付いたしましたので、ご確認ください〉