シェヘラザードに捧げる物語




 原嶋さんのお母さんは、『それでは失礼いたします』と感情の見えない声を残して電話を切った。

 私はしばらくの間真っ暗なスマホの画面を見つめていたけれど、インターフォンの音に驚いて取り落としてしまった。

 なんだか朝から心臓に悪い出来事ばかりだ。


「はい、どちら様ですか?」

「宅急便でーす」


 玄関のドアを開けて荷物を受け取る。

 お父さんからの詰め合わせだ。


「ありがとうございましたー」


 私は外の廊下をかけていく背中にそう声をかけて、ダンボールを開け中身を取り出した。

 中身は……缶詰やパックご飯、レトルト食品の詰め合わせだ。

 お父さんにアプリでお礼のメッセージを送ると、食器棚の下に入れ始める。


「あ、お砂糖そろそろ買い足しておかないと」


 お休みをもらってるし、これから買いに行こう。



 決めた瞬間にまたスマホが震えた。



「今度は何なの……」