「大丈夫、わかってるから」
シャロンがいいなら、自分に怒る権利はない。だから浮かんだ怒りは心の奥に沈めて消し去った。
一方テオドラはロイに何か囁かれ、パッと目を輝かせた。誤解が解けたのだろうが、ロイのしたり顔が地味にムカつく。ムカつくが、今言いたいことに関しては口に出さないようにとシャロンに頼まれているので、ジェイクはグッと口を閉じた。
「テオドラはこのまま城に帰って誕生祝に出てね」
ホッとしたのだろう。かわいくあくびをかみ殺しながらシャロンがテオドラにそう告げる。
国中の魔法は昼までには完全に解けるらしい。館の燃料とテオドラの魔力を総動員して施した強い魔法だったが、誰もそんな魔法の存在に気付かないまま当たり前にテオドラ姫を受け入れるだろう。カロン姫のことなど忘れて。
「私の記憶は消したままでよかったのに」
ぷくっと頬を膨らませるテオドラに、シャロンはてへっと笑う。
テオドラが目覚めたときに、人々の記憶も記録も正常に戻るように施したのはシャロンだ。もちろんミネルバの助けも借りた。
「ロイ様とイチャイチャするのに夢中で、さっさと出てこないのが悪いんですよ」
「い、イチャイチャなんてしてないわ。ちょっと話をしてただけで」
頬を赤くするテオドラの隣でロイが笑顔になり、その後ろでエルザが笑いをこらえているので、誰も彼女の言葉は信じない。やっと出会えた上に、彼はテオドラに一目で恋に落ちたのだ。かつての恋人そっくりの姿だったらしいことも大きいだろうが、ロイを惹きつけるテオドラ自身の魅力も大きいのだろう。ロイにはテオドラが世界一美しく見えてるに違いないのだ。
「カロンはこれからどうしたいの?」
テオドラの質問に、ジェイクがシャロンの答えをうかがうようにじっと見つめると、彼女は少し俯く。
「叶う叶わないは別としてよ? 私の一番の望みは、できればミネルバと一緒にいたいし、ジェイクとラゴン領に帰りたい」
またもやジェイクの心臓が大きく脈打った。
シャロンがそんな風に言ってくれるとは夢にも思わなかったからだ。ジェイクはシャロンを見つけたら、彼女と共に流浪の旅に出る覚悟だった。だが彼女はジェイクと出会ったあの森を故郷のように思ってくれている。
帰りたい。
その一言がこんなにも嬉しいなんて。
だが命令の権限順位から見て、紅蓮の館はロイとテオドラのものだろう。
二位のテオドラが大きな魔法を施し、一位のロイがそれを破った。
ミネルバはテオドラの命令どおり演技をしてたのだろう。実際結界は存在したが、それは療養中のテオドラを守るものだったのであり、燃料は彼女のために使われていた。
だが……
シャロンがいいなら、自分に怒る権利はない。だから浮かんだ怒りは心の奥に沈めて消し去った。
一方テオドラはロイに何か囁かれ、パッと目を輝かせた。誤解が解けたのだろうが、ロイのしたり顔が地味にムカつく。ムカつくが、今言いたいことに関しては口に出さないようにとシャロンに頼まれているので、ジェイクはグッと口を閉じた。
「テオドラはこのまま城に帰って誕生祝に出てね」
ホッとしたのだろう。かわいくあくびをかみ殺しながらシャロンがテオドラにそう告げる。
国中の魔法は昼までには完全に解けるらしい。館の燃料とテオドラの魔力を総動員して施した強い魔法だったが、誰もそんな魔法の存在に気付かないまま当たり前にテオドラ姫を受け入れるだろう。カロン姫のことなど忘れて。
「私の記憶は消したままでよかったのに」
ぷくっと頬を膨らませるテオドラに、シャロンはてへっと笑う。
テオドラが目覚めたときに、人々の記憶も記録も正常に戻るように施したのはシャロンだ。もちろんミネルバの助けも借りた。
「ロイ様とイチャイチャするのに夢中で、さっさと出てこないのが悪いんですよ」
「い、イチャイチャなんてしてないわ。ちょっと話をしてただけで」
頬を赤くするテオドラの隣でロイが笑顔になり、その後ろでエルザが笑いをこらえているので、誰も彼女の言葉は信じない。やっと出会えた上に、彼はテオドラに一目で恋に落ちたのだ。かつての恋人そっくりの姿だったらしいことも大きいだろうが、ロイを惹きつけるテオドラ自身の魅力も大きいのだろう。ロイにはテオドラが世界一美しく見えてるに違いないのだ。
「カロンはこれからどうしたいの?」
テオドラの質問に、ジェイクがシャロンの答えをうかがうようにじっと見つめると、彼女は少し俯く。
「叶う叶わないは別としてよ? 私の一番の望みは、できればミネルバと一緒にいたいし、ジェイクとラゴン領に帰りたい」
またもやジェイクの心臓が大きく脈打った。
シャロンがそんな風に言ってくれるとは夢にも思わなかったからだ。ジェイクはシャロンを見つけたら、彼女と共に流浪の旅に出る覚悟だった。だが彼女はジェイクと出会ったあの森を故郷のように思ってくれている。
帰りたい。
その一言がこんなにも嬉しいなんて。
だが命令の権限順位から見て、紅蓮の館はロイとテオドラのものだろう。
二位のテオドラが大きな魔法を施し、一位のロイがそれを破った。
ミネルバはテオドラの命令どおり演技をしてたのだろう。実際結界は存在したが、それは療養中のテオドラを守るものだったのであり、燃料は彼女のために使われていた。
だが……



