時をかけた騎士と紅蓮の館の白き魔女

 そこにジェイクとゼノンがそっと入ってくるので、シャロンとエルザは再会した恋人たちから離れた。

「ロイを可愛いって?」

 不思議そうに二人を見るジェイクにシャロンは思わず吹き出しかける。

「ジョージ様はブランシュ、いえビアンカ様と結婚したとき、彼はビアンカ様より八歳年上だったのよ。三十二歳の時だったかしら。見た目はそうね。あなたのお義兄様、クロウ様みたいな感じだったわ」

 岩のような体躯に一見冷たく見えるほどの美貌を持ちながらも、ひげの似合う武骨なかの男を思い浮かべたのだろう。ジェイクは納得したように「ああ」と唸った。

「そのあとの前世の時もジョージ様のほうが十歳年上だったから、彼のほうが年下なのは初めてなの」

 天から来た魔女ブランシュ、のちにラゴン領で過ごしたブランシュ。転生してきた同じ一人の魔女だ。
 二人は三度目の邂逅なのだと教え、シャロン達はエルザだけを残し、そっと部屋を離れた。

 本当は何度も生まれ変わっている。
 でもそのたびに出会えたとは限らない。ブランシュのひ孫としてジョージが生まれたこともあるし、多くの時には彼に前世の記憶はなかった。気づいていないだけで、ブランシュに記憶がなかった時代もあっただろう。

 そのいくつもの人生の中で、ジョージが他の女性と結ばれるのをブランシュは幾度となく見た。
 それでも彼の幸せな姿を見られればそれでよかった。
 同じ時代に近い年の男女として出会えることも、お互い恋に落ちることも奇跡でしかないのだと知っているからだ。

 二度結ばれた時も、ブランシュは彼を目の前で失った。来世を誓いながら、いつか長い生涯を添い遂げられる平和な日々を待ち焦がれた。

 そんな風にブランシュがジョージを想う心もシャロンの中に、まるで自分の気持ちのように浮かんでしまった。それはシャロンも、ジェイクに対して同じように思っていたからからすっかり同調してしまい、危うく何度かロイにときめきそうになったことは誰にも内緒だ。もちろんロイが誤ってシャロンを口説いたこともジェイクたちにかたく口止めをする。

「武士の情けよ、ジョージ・ロイ様」

 昔のジョージの口癖が自然と浮かび、シャロンは武士がなんだか分からないながらもクスッと笑った。