あの日――。
ジェイクと彼の花嫁の姿は、一服の絵のように美しかった。
少し遅れて参列したシャロンは、山の神のもとで行われる神聖な結婚式にジェイクの友人として、同時に家族としてそこにいた。とても幸せそうに見えたのだ。なのに最後に見た光景は、ジェイクが毒に侵され事切れる前に投げたナイフが、ブラッドリアンの胸に吸い込まれたことだ。発狂したジェイクの花嫁が何か泣き叫んでいたが、山が火を噴き場は混乱を極めた。
解毒も何もかも間に合わず、ジェイクを埋葬したあとしばらく何も考えられなかったシャロンは、やがて時を超えることを決めた。記憶を保てることを考えればそんなに過去には行けない。だから結婚式の直前に戻れればいい。せめてあと五分早く駆けつけられるよう。
二度目の結婚式では、ジェイクが毒を飲むのを阻止できた。
しかし、愚かにも前回彼の花嫁の叫びを花婿の死による錯乱だと思っていたシャロンは、次の対応に遅れた。ジェイクの妻になるはずだった女性が、彼の心臓にナイフを深々と突き立てたのだ。恐ろしいほど正確に、花嫁はジェイクの命を奪い去った。
もう一度時を超えることにためらいはなかった。
そして三度目、やっと毒もナイフも阻止できた。
スローモーションのように、ロイが花嫁とブラッドリアンの首をはねるのが見える。
――やっと彼を救えた。
そのことを、昼間ロイと話していたときにはっきりと思い出した。
彼はジェイクの恩人だった。



