◆
深夜。
そっと寝室を抜け出したシャロンが四阿に着くと、すでにジェイクがいた。
「ジェイク、待った?」
「いや、まったく」
シャロンの問いに、ジェイクは楽しそうに笑う。
ここから紅蓮の館にどうやって行くのだろう? 門を出ることはできないのに? と考えていると、ジェイクはカロンの膝上あたりに腕を回し片手でヒョイと抱き上げた。
「ジェイク?」
突然高くなった視界に慌てて彼の首に抱きつくと、
「うん、そのまましっかり捕まっててくれ。できるだけ声は上げないように」
そう言うやいなや、シャロンが答える間もなく植え込みを飛び越えた。
「えっ、ジェイクっ」
フワッとした浮遊感に腕に力が入り、思わず目をギュッと閉じる。垂直に近いような崖を下る感覚に声にならない悲鳴を上げた。
「もう目を開けてもいいよ」
笑いを堪えるような声にそっと目を開けると、遥か上に四阿の屋根が見え、視線を下げると眼下にあったはずの地面にジェイクが立っている。
「と、飛び降りたの?」
「まさか。足場を見つけて降りただけだよ」
それにしたってシャロンを抱えた状態で軽々とこなしたことが信じられない。地面に降ろされたが、腰が抜けてヘナヘナと座り込んでしまった。
「ごめん、怖かった?」
心底驚いたような声に思わずふくれる。
「当たり前でしょう!」
「でもいつもは紅蓮の館で、鳥みたいに飛んでるじゃないか」
「それとこれとは別だわ!」
プイッとそっぽを向くと、クスクス笑って横抱きにされてしまった。
「時間がないから暴れないで」
先手を打たれぐっと詰まる。
ジェイクなんてジェイクなんて!
「バカ」
「そうだな、バカだな」
カラカラ笑われたのがムカついて、彼の甘やかな視線が胸に痛くて――。なんだかとても悔しいから、シャロンはわざとギュッと彼の首に抱きついた。
「絶対に、落とさないでね」
耳元で出来るだけ優しく囁くと彼が息を呑んだのが伝わり、少しだけ溜飲を下げる。
自分ばかりがドキドキさせられるなんて不公平だもの。これでおあいこよ!
深夜。
そっと寝室を抜け出したシャロンが四阿に着くと、すでにジェイクがいた。
「ジェイク、待った?」
「いや、まったく」
シャロンの問いに、ジェイクは楽しそうに笑う。
ここから紅蓮の館にどうやって行くのだろう? 門を出ることはできないのに? と考えていると、ジェイクはカロンの膝上あたりに腕を回し片手でヒョイと抱き上げた。
「ジェイク?」
突然高くなった視界に慌てて彼の首に抱きつくと、
「うん、そのまましっかり捕まっててくれ。できるだけ声は上げないように」
そう言うやいなや、シャロンが答える間もなく植え込みを飛び越えた。
「えっ、ジェイクっ」
フワッとした浮遊感に腕に力が入り、思わず目をギュッと閉じる。垂直に近いような崖を下る感覚に声にならない悲鳴を上げた。
「もう目を開けてもいいよ」
笑いを堪えるような声にそっと目を開けると、遥か上に四阿の屋根が見え、視線を下げると眼下にあったはずの地面にジェイクが立っている。
「と、飛び降りたの?」
「まさか。足場を見つけて降りただけだよ」
それにしたってシャロンを抱えた状態で軽々とこなしたことが信じられない。地面に降ろされたが、腰が抜けてヘナヘナと座り込んでしまった。
「ごめん、怖かった?」
心底驚いたような声に思わずふくれる。
「当たり前でしょう!」
「でもいつもは紅蓮の館で、鳥みたいに飛んでるじゃないか」
「それとこれとは別だわ!」
プイッとそっぽを向くと、クスクス笑って横抱きにされてしまった。
「時間がないから暴れないで」
先手を打たれぐっと詰まる。
ジェイクなんてジェイクなんて!
「バカ」
「そうだな、バカだな」
カラカラ笑われたのがムカついて、彼の甘やかな視線が胸に痛くて――。なんだかとても悔しいから、シャロンはわざとギュッと彼の首に抱きついた。
「絶対に、落とさないでね」
耳元で出来るだけ優しく囁くと彼が息を呑んだのが伝わり、少しだけ溜飲を下げる。
自分ばかりがドキドキさせられるなんて不公平だもの。これでおあいこよ!



