時をかけた騎士と紅蓮の館の白き魔女

 そうしていたある日、すっかり傷が癒えカロンも落ち着いたであろうということで、先延ばしにされていた宴が改めて開かれることになった。主役であるはずのカロンが知ったのはほんの七日前のことだが、どうりで誕生祝いにしては数多くの新しい晴れ着を作ったり、周りがやたらにぎやかだと思った。
 諸外国からも沢山客を招き入れるのは、ネイディアが豊かであると同時に、強い国だからなのだろう。宴の準備のために人々がくるくる働く姿は、不謹慎ながらなかなか目に楽しいものがある。

 客らが到着してからの女官たちの話題はもっぱら、カロンをどう美しく飾り立てるかと、どんな殿方が訪れるかの二点だった。年若い乙女が多いので、賓客に付き添う美丈夫の確認に余念がないのだろう。あの国の騎士に素敵な人がいた、いやこちらの国の従僕が麗しかったなど話題が華やかだ。

「なぜかお客様は男性が多いのね」

 ふと疑問に思いカロンがそう言うと、周りがどっと笑う。

「いやですわ、姫様のためじゃありませんか」

「私の?」

 意味が飲み込めず首をかしげる。周りの女性の華やかな話題はたしかに楽しくはあるが……。
 そう思いながら周りを見渡すと、皆の目が何かの期待でキラキラ輝いている。

「わかったわ。麗しい男性のお客様が多いと、皆がきれいになるからってことね!」

 ちょうど結婚適齢期の娘も多い。これは新しい恋の話がたくさん生まれるのではないだろうか。

「姫様、半分だけ正解です」

「半分ですか? じゃあ、あとの半分は?」

「それは……自分でお考え下さい」

 楽しそうにクスクス笑われたので、カロンはあえてそれ以上追及しなかった。きっと彼女たちにとって楽しいことなのだろう。