「撮影5分前です。スタジオ外にいる人は戻りましょう。」
そんなアナウンスが入る。
…やんなきゃかぁ。
そう自覚したとき、体が手足に錘でも付いているんじゃないかと思うほど体が重くなった。
…かったりぃ。
俺は重い体を引きずらせてスタジオの中に入った。
————
「休憩も済んだところで...続きいきますか。名前を呼ぶので来てくださいね。では——」
そこからはスムーズに進んだ。
それは、経験者が多かったからだ。
休憩後に呼ばれた人は大体一曲を通してパフォーマンスすることが出来ていた。
それでなのか、審査員の機嫌は良くなっていった。
そこからどんどん進んでいき...
いつの間にから俺かもう一人——アイドルの藤原遍(ふじわらあまね)、二人になってしまった。
藤原遍はももいろシフォンという、かわいい系女性アイドルグループの元センター。
ももいろシフォンは、メンバーの中でいざこざが起きてしまい、しまいには大喧嘩で2年前に解散したらしい。
ま、元アイドルセンターであるので顔はいい。
って、そんなこと説明してる場合じゃない。
大トリなんて絶対嫌だ。
元アイドルの方が絶対ふさわしいでしょ!
社長やっぱおかしいよ。
「あと二人です。さ、大トリを飾るのはどちらでしょうか?129人目——」
セツヤが言う。
白雪晴と言え、白雪晴と言え、白雪晴と言え。
両手を握りしめながら呪文のように唱える。
お願いっ!
「藤原遍。」
………あ。
ふじわら、あかね。
セツヤから聞こえた言葉。
しらゆきはるではなく。
………あー。終わった。
つまり、俺は大トリっていうことか...。
会場がわああっ、と盛り上がったところで、俺は。
一人、頭を抱えていた。

