(俺)と「私」の諸事情



…ワーオ、なんていう無難な理由。

きっと嘘なんだろうけど。

「…なるほど。では、もう一つ。あなたはアメリカでアイドルの活動をしていたらしいですね。活動休止してまでAXISauditionに応募した理由は?」

…俺もそれは気になっていた。

アメリカでアイドルやっていた方が稼げそうだし。

言い訳するとしたら...「広い世界を見てみたかった」とか?

「私は、アメリカでは留まらず広い世界で活躍して見たいと思ったからです。」

…予想的中。

「ありがとうございます。では、パフォーマンス。お願いします。」

「はい。」

水谷蘭はニコッと微笑むと、顔を下に向けた。

シン、となった会場に冒頭の前奏が流れてきた。

水谷蘭の課題曲は「Rooftop Rodeo」。

主人公の男が都会のビルの屋上で、女と会い一目惚れしてしまう、という物語。

全部英語の曲、ダンスもあり。

やっぱり全体的に課題曲の難易度が高いよな。

俯いている水谷蘭。

でも、

顔を上げた時。