(俺)と「私」の諸事情



「さて、みなさん。早速ですが、一次審査。」

笑顔のポーカーフェイスから真剣な審査員の顔になる。

会場が緊張でなのか、ピリッとした空気になる。

ざわざわしていた参加者も一瞬で静かになった。

「の、前に、審査員を発表したいと思う。」

と、セツヤが言った途端、空気が少し緩んだ。

まぁ、あんないきなり審査っていったらあんな空気になるだろう。

「審査員は、合わせて7人。」

…意外と多いな。

「一人目は、僕。二人目は——」

セツヤが言うのを途切らせたとき、

カツン、カツン、とヒールの音がなり、ステージに女の人が現れた。

女の人は、持っていたマイクを口に持っていって言った。

「どうも、歌手の一式静(いっしきしずか)です。審査員としてよろしくお願いします。」

落ち着いた声が会場にわたって、わぁっ、と会場が湧く。

一式静。漆黒色の髪は肩あたりで切り揃えられていて、和風お嬢様みたい。
静かな圧を感じる瞳もオーデションにはピッタリだ。

日本ではもちろん、世界でも活躍している歌手だ。
15歳の頃から歌手で有名で、現在30歳でも活躍は、絶えない。
3回目から審査員をやっていて、今回で2回目。