(俺)と「私」の諸事情



俺が怯えたのを感じ取ったのか、父親はサバイバルナイフをたたんでポケットにしまった。

…これって普通犯罪ものじゃない?

人に凶器向けるのって刑務所行きでしょ。

…はぁ。

ため息をついたと同時に音楽が流れ始める。

…ミスストップか。

怯えて力が入らなかった体に無理やり踏ん張って体を起こして立つ。

震えていた手を握りこみ、落ち着かせる。

スー、ハー、と深く深呼吸をして呼吸を安定させる。

恐怖を心の奥に沈めて最初のステップを踏んだ。

それと同時に音楽が止まる。

…あぁ、またこの流れか。

哀れな俺。

ここから朝までフルだぁ。

俺は天井を仰いで、諦めモードに入ってしまった。

そこから朝6時まで深夜レッスンが続いた。