(俺)と「私」の諸事情



父親が俺の名前を読んだ。

「な、何…。」

女みたいな、か細い声で言う。

「…オーデションに落ちたらどうなるか分かるよな、今なら。」

…え?

まさか…オーデション落ちたら刺すってことか?

っ!

想像しただけで目の前にいる父親が悪魔に見える。

…俺は今日、どこかで「オーデション、落ちてしまえばばれるリスクがなくなるんじゃないか」って思ってた。

でも。

オーデションに落ちたら、

俺の命が犠牲か。

ひゅっ、と冷たい息を吸う。

父親の目は変わらず鋭くて。

…これは本気だ。

絶対落ちないようにしないと。

俺の命が惜しければ。