(俺)と「私」の諸事情



まもなく深夜22時。

俺は10分前から旧スタジオ棟、04スタジオに来て自主練をしていた。

夕飯のときは俺は、食べ終わった後「では。」といって早々と水谷蘭の前から去った。

…その後。

個人スタジオに戻って練習していたらいきなりドアが開いた。

誰だろ、と思って見たらまさかの、

AXISauditionの司会者・セツヤだった。

もう仕事が終わったのか髪はノーセット、服は黒のパーカーとジャージという完全オフモードだった。

俺は目を見開き、曲を一度止める。

「お、お疲れ様です!」

頭を下げながら言う。オフモードでも一応先輩。

父親も先輩に挨拶はしなくてはダメだ、って言っていたし。

「…あぁ、そういうのはカメラがある時だけでいい。白雪晴、伝え忘れていたことがあった。」

ステージでの笑顔は何だったんだ、と思うほどの気だるげな表情。