(俺)と「私」の諸事情



「え?」

どうしたんだ?と少し目を見開く俺。

でもみんなの目は、目の前にいる女の子に向けられていた。

「あぁ。私がどこ座っててもこうだから気にしないで。」

と言う女の子。

俺はイヤホンをつけるのをやめて聞いた。

「私、白雪晴。名前、何ですか?」

年上だろうと思って敬語で聞く。

「私?私は水谷蘭(みずたにらん)。よろしく。」

あっ。「よろしく」か。

ここは何も言わずにニコッと微笑んで同意というように顔で返事をする。

気になったことがあったから聞いてみた。

「水谷さんは何か芸能活動やってたんですか?」

一人がカフェスペースの席に座るだけであんなざわつくはずがない。

だったら、水谷蘭という存在が元々芸能界に知れ渡っていたのなら、可能性はありえる。