(俺)と「私」の諸事情



「では、名前を呼ぶので、呼ばれたらステージに上がってきて下さい。」

セツヤがそう言うと、どんどん参加者の名前が呼ばれていった。

…やっぱり元アイドルやモデルなど、芸能人はたくさんいる。
なんならこのオーデションを受けるために芸能界に入ったってところ?
有名な人はファンを元からもっているから番組的にも自分的にも有利なんだよね。

番組も視聴者を稼ぐために置いておくと思うし。

なーんて、思っているが俺は芸能人でもない。

だからファンなんて元からいないし、この番組でファンを作らないといけない。

「次—白雪晴。」

お、俺が呼ばれた。

...俺は今、女。女らしく。

スッ、と立って客席を抜ける。
歩く姿も完璧に。
この部分、撮られてる。
手、腕、体、顔は顎を引いて緊張してるように。
ステージに上がり、セツヤの目の前に立つ。