コトドリ様

その絵本はこの街に暮らしている子供なら1度は読んだことのある、この街特有の伝説や神話を扱ったものだったからだ。
確か、私の家にも同じ絵本があったはず。
今更こんなものをどうして真剣に見ているんだろう?
そう思ったとき「これだよ」と、梢が呟いた。
「え、なにが?」
「これだよ、コトドリさま!」
みんなが振り向くような声で言うので、私は慌てて梢の口を手で塞いで店の外へと移動した。
「急にどうしたの?」
「さっきの聞いたでしょう? コトドリさまの伝承だよ!」
コトドリさまの伝承についてはもちろん私もよく知っている。